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0.0.0.3 解説

$ C^1$ 級の $ n$ 次元ベクトル場 $ \Vector{f}$ がポテンシャルを 持つかどうかチェックし、 持つ場合はそれを求めよ」という問題には、例えば次の手順で考えるとよい (上の解答もそれに沿っている)。
(1)
条件

(☆) $\displaystyle \frac{\rd f_i}{\rd x_j}=\dfrac{\rd f_j}{\rd x_i}$   $\displaystyle \mbox{($i,j=1,2,\dots,n$)}$

が成り立つか調べる (条件 () は $ n=3$ の場合、 $ \rot\Vector{f}=\Vector{0}$ と同値である。 また $ n=2$ の場合も $ \rot\Vector{f}=\dfrac{\rd f_2}{\rd x_1}-
\dfrac{\rd f_1}{\rd x_2}=0$ と同値である)。 これが成り立たなければポテンシャルは存在しない。 この条件 () が成り立つならば、次の (2) に進む。
(2)
$ \Vector{f}$ の定義域 $ \Omega$ が単連結かどうか調べる 1。 単連結でなければ次の (3) に進む。 単連結であれば、

( $ \heartsuit$) $\displaystyle F(\Vector{x}):=\int_{C_{\Vector{x}}}\Vector{f}\cdot\D\Vector{r}$   $\displaystyle \mbox{($\Vector{x}\in\Omega$)}$

がポテンシャルとなる。ここで $ C_{\Vector{x}}$ は、 $ \Omega$ から任意に選んだ定点 $ \Vector{a}$ を始点とし、 $ \Vector{x}$ を終点とする $ \Omega$ 内の区分的 $ C^1$ 級曲線である 2。 ていねいにこの線積分を計算し、 念のため $ \grad F=\Vector{f}$ が成り立つかどうか検算する。
(3)
(() が成り立つが、$ \Omega$ は単連結でない場合) ポテンシャルを持たない可能性が高いが、それを確かめるには、

$\displaystyle \int_{C}\Vector{f}\cdot\D\Vector{r}\ne 0
$

を満たす $ \Omega$ 内の閉曲線 $ C$ を見つければよい。 軟弱な問題の場合、そういう閉曲線が設問中にあったりする。 自分で探す場合は、$ \Omega$ に空いた「穴」を囲む (ひっかかる) 閉曲線で、 線積分を計算しやすいものを試してみるとよい。 $ \qedsymbol$


\begin{yodan}
% latex2html id marker 153計算を間違えない自信があれば、
最初か...
...われる
(コンピューターにやらせるのならば案外良いかもしれない)。 \qed
\end{yodan}

ARRAY(0xf11f14)


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Masashi Katsurada
平成20年1月22日