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C..2 首座小行列式作戦

$ k=1,2,\cdots$ に対して、$ \det A_k$ ($ A_k$$ A$$ k$ 次首座小行列) を計算して符号を調べる。
(i)
すべて正である ( $ \forall k\in\{1,\cdots,n\}$ $ \det A_k>0$) ことは、 $ A$ が正値であるための必要十分条件である。
(ii)
負から始まり、負と正が交互に現れる ( $ \forall k\in\{1,\cdots,n\}$ $ (-1)^k\det A_k>0$) ことは、 $ A$ が負値であるための必要十分条件である。
(iii)
上の (i), (ii) のいずれでもない場合、$ \det A$ を計算する。 もし $ \det A\ne 0$ であるならば、$ A$ は不定符号である。 $ \det A=0$ のときは、一般には面倒だが、
(a)
$ n=2$ の場合は、正値、負値、不定符号のいずれでもないと結論できる ($ \det A<0$ $ \LongIff$ $ A$ は不定符号)。
(b)
また $ n=3$ の場合は、固有多項式が容易に因数分解可能で、 符号の判定は容易である。結論だけ書いておくと

$\displaystyle A=\begin{pmatrix}
a&b&c b&d&e c&e&f
\end{pmatrix}$

の固有多項式は

$\displaystyle \det(\lambda I-A)=\lambda^3-(a+d+f)\lambda^2+
(-b^2-c^2-e-2+ad+af+df)\lambda-\det A
$

であるから、$ \det A=0$ を満たすとき、

$\displaystyle \lambda_1\lambda_2=-b^2-c^2-e-2+ad+af+df
$

が負ならば不定符号、そうでないならば正値でも負値でも不定符号でもない。
(c)
$ n\ge 4$ の場合は研究課題であろう。


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Masashi Katsurada
平成23年7月21日