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前回のやり残し


\begin{jexample}[極座標変換の逆変換のヤコビ行列 (とても重要)]
$\varphi\colon(0,...
...a}{r},\quad
\theta_y=\frac{\cos\theta}{r}. \qed
\end{displaymath}\end{jexample}

この結果を逆関数の微分法を使わずに求めてみよう。 $ r=\sqrt{x^2+y^2}$ であるから、$ r_x$$ r_y$ は比較的簡単に得られる。

    $\displaystyle r_x$ $\displaystyle =\frac{\rd}{\rd x}\left(x^2+y^2\right)^{1/2} =\frac{1}{2}\left(x^2+y^2\right)^{-1/2}\cdot\frac{\rd}{\rd x}(x^2+y^2) =\frac{x}{\sqrt{x^2+y^2}},$
    $\displaystyle r_y$ $\displaystyle =\frac{\rd}{\rd y}\left(x^2+y^2\right)^{1/2} =\frac{1}{2}\left(x^2+y^2\right)^{-1/2}\cdot\frac{\rd}{\rd y}(x^2+y^2) =\frac{y}{\sqrt{x^2+y^2}}.$

これらがそれぞれ $ \cos\theta$, $ \sin\theta$ に等しいことは容易に分かる 2$ \theta$ の導関数の方は少し難しい。割と多くのテキストに

$\displaystyle \theta=\tan^{-1}\dfrac{y}{x}
$

と書かれているが3、 これは $ \pmod \pi$ でしか正しくない式である。 本当は、 $ \tan^{-1}\dfrac{y}{x}$ が主値 ( $ (-\pi/2,\pi/2)$ 内の値) を意味するとして、

$\displaystyle \theta=
\left\{
\begin{array}{ll}
\tan^{-1}\dfrac{y}{x} & \mbox{(...
...ox{($x=0$ かつ $y<0$)}\\
\pi & \mbox{($y=0$ かつ $x<0$)}
\end{array}\right.
$

となるはずである ($ r\ne 0$, $ 0<\theta<2\pi$ であるから、 $ y=0$, $ x\ge 0$ となる $ (x,y)$ は除かれていることに注意しよう)。

      $\displaystyle \frac{\rd}{\rd x}\tan^{-1}\frac{y}{x} =\frac{1}{1+(y/x)^2}\frac{\...
...right) =\frac{1}{1+(y/x)^2}\cdot\left(-\frac{y}{x^2}\right)=-\frac{y}{x^2+y^2},$
      $\displaystyle \frac{\rd}{\rd y}\tan^{-1}\frac{y}{x} =\frac{1}{1+(y/x)^2}\frac{\...
...\left(\frac{y}{x}\right) =\frac{1}{1+(y/x)^2}\cdot\frac{1}{x}=\frac{x}{x^2+y^2}$

であることから、

$\displaystyle \theta_x=-\frac{y}{x^2+y^2},\quad
\theta_y=\frac{x}{x^2+y^2}
$

が導けるが、 少々面倒である (第1,2,3,4象限では比較的簡単だが、 $ x$ 軸と $ y$ 軸の上でどうすれば良いか?4)。 これがそれぞれ $ -\dfrac{\sin\theta}{r}$, $ \dfrac{\cos\theta}{r}$ に等しいことは容易に確められる。 $ \qedsymbol$

ARRAY(0x1004ef8)



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Masashi Katsurada
平成23年6月19日