3 細かい工夫 — 周期関数の定義

Fourier級数の部分和が元の関数に近いことを確かめるには、 両方のグラフを描いて比較するのが良い。

上の例では、周期 $2\pi$ の周期関数を、 $[-\pi,\pi)$ での値を指定することで定義した。 Mathematica でそれに相当することをするには、次のようにすればよい。

f0[x_]:=Abs[x]
f[x_]:=f0[Mod[x,2Pi,-Pi]]

g0[x_]:=Which[-Pi<x<0,-1,x==0||x==Pi,0,0<x<Pi,1]
g[x_]:=g0[Mod[x,2Pi,-Pi]]

Mod[$a$, $b$, $c$] は、手短に言うと、 $a$$b$ で割った余りを $[c,c+b)$ の範囲で求めてくれる。 つまり、 $a\in\mathbb{R}$, $b>0$, $c\in\mathbb{R}$ とするとき、

$\displaystyle a=bq+r,\quad q\in\mathbb{Z},\quad c\le r<c+b
$

を満たす $q$, $r$ が一意的に存在するが、 Mod[$a$, $b$, $c$] はこの $r$ を表す。

ゆえに r=Mod[x,2$\pi$,-$\pi$] とすると、 ( $\exists q\in\mathbb{Z}$) $x-r=\textcolor{red}{2\pi}\cdot q$, $r\in[\textcolor{blue}{-\pi},\textcolor{blue}{-\pi}+\textcolor{red}{2\pi})
=[-\pi,\pi)$. $f$ が周期 $2\pi$ であるから $f(x)=f(r)$.



桂田 祐史