1.0.0.1 蛇足的注意

プログラミング言語の C や Fortran には角度を計算するための関数 atan2() がある1atan2(y,x) とすると、点 $ (x,y)$ の角度を $ [-\pi,\pi]$ の範囲で返す。 そこで C プログラムで $ (x,y)$ から $ (r,\theta)$ を計算するには
    r=sqrt(x*x+y*y)
    phi=atan2(y,x)
    if (phi < 0.0) then
      phi=phi+2*pi
    endif
    r = sqrt(x * x + y * y);
    theta = atan2(y, x);
    if (phi < 0.0) phi += 2 * pi;
とするとよい (もちろん pi には $ \pi$ の値が入っているとしている)。 関数 atan2() を使わずに atan() のみで角度 $ \theta$ を求め ようとすると、分かりにくいプログラムになる。 $ \qedsymbol$

なお、
平面極座標のヤコビアン
$ x=r\cos\theta$, $ y=r\sin\theta$ により $ f\colon(r,\theta)\mapsto
(x,y)$ を定義すると

$\displaystyle \det f'(r,\theta)
=\frac{\rd(x,y)}{\rd(r,\theta)}=r.
$

証明. ヤコビ行列は

$\displaystyle f'(r,\theta)
=\left(
\begin{matrix}
x_r & x_\theta \\
y_r & y_\t...
...ix}
\cos\theta & -r\sin\theta \\
\sin\theta & r\cos\theta
\end{matrix}\right)
$

であるから、

$\displaystyle \det f'(r,\theta)$ $\displaystyle =\det \left( \begin{matrix}\cos\theta & -r\sin\theta  \sin\theta & r\cos\theta \end{matrix} \right)$    
  $\displaystyle =\cos\theta\cdot r\cos\theta-(-r\sin\theta)\sin\theta =r(\cos^2\theta+\sin^2\theta)$    
  $\displaystyle =r. \qed$    

$ \qedsymbol$



桂田 祐史