5 $ 2$ 次元における Laplacian の差分近似

すでに何度も見たように、$ \R^2$ における Laplacian の極座標表示

$\displaystyle \Laplacian u=\frac{\rd^2 u}{\rd r^2}+\frac{1}{r}\frac{\rd u}{\rd r}+
\frac{1}{r^2}\frac{\rd^2 u}{\rd \theta^2}
$

において、$ r=0$ で係数に特異性がある。これをどう差分近似するか。


\begin{jremark}[良く知られた (だがここでは役に立たない) テク...
...で考えるとき
は、$r=\exp\rho$\ とおくことで、 \qed
\end{jremark}

$ x_i=i h$, $ y_j=j h$ ($ i,j\in \Z$) と直角座標系にそって格子を入れた 場合、

$\displaystyle \Laplacian u(0,0)$ $\displaystyle \kinji$ $\displaystyle \frac{u(h,0)-2u(0,0)+u(-h,0)}{h^2}
+\frac{u(0,h)-2u(0,0)+u(0,-h)}{h^2}$ (4)
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \frac{4}{h_r^2}
\left[
\frac{u(h,0)+u(-h,0)+u(0,h)+u(0,-h)}{4}-u(0,0)
\right].$  

極座標 $ (r,\theta)$ の空間を、角度方向に $ N_\theta (=4N)$ 等分して、

$\displaystyle r_i=i h_r, \quad \theta_j=j h_\theta$   $\displaystyle \mbox{($i=0,1,2,\cdots$; $j\in\Z$)}$

(ただし $ h_\theta=2\pi/N_\theta=\pi/(2N)$) と格子を入れた場 合、(7) は

$\displaystyle \Laplacian u(0,0)
\kinji
\frac{4}{h_r^2}
\left[
\frac{u_{1,0}+u_{1,N}+u_{1,2N}+u_{1,3N}}{4}-u(0,0)
\right]
$

と書き直すことができる。ところで $ \Laplacian$ は直交変換で不変であるこ とを思い出せば、任意の $ j$ について

$\displaystyle \Laplacian u(0,0)
\kinji
\frac{4}{h_r^2}
\left[
\frac{u_{1,j}+u_{1,j+N}+u_{1,j+2N}+u_{1,j+3N}}{4}-u(0,0)
\right]
$

これから

$\displaystyle \Laplacian u(0,0)\kinji \frac{4}{h_r^2}\left(\frac{1}{N_\theta}\sum_{j=0}^{N_\theta-1}u_{1,j} -u(0,0)\right)$ (5)

という近似公式が得られる。

これは一般次元に拡張できる: $ \R^n$ における Laplacian の近似として

$\displaystyle \Laplacian u(0)\kinji \frac{2\times(\mbox{空間の次元})}{h_r^...
...おける $u$\ の平均値}) -(\mbox{原点における $u$\ の値})\right].$ (6)



桂田 祐史