3.1.1 常微分方程式って何だったっけ -- 復習

常微分方程式というのは大雑把に言うと、「一つの実独 立変数 $ t$ の未知関数 $ x=x(t)$ を求めるための問題で、$ x$ とその導関数 $ \dsp\frac{dx}{dt}$, $ \dsp\frac{d^2x}{dt^2}$, $ \cdots$, $ \dsp\frac{d^kx}{dt^k}$ についての方程式になっているもの」のことです。 (以下では $ \dsp\frac{dx}{dt}=x'$, $ \dsp\frac{d^2x}{dt^2}=x''$, $ \dsp\frac{d^3x}{dt^3}=x^{(3)}$, $ \cdots$ のような書き方もします。)


(例1)
$ x'(t) = f(t)$ ($ f$ は既知関数)
(例2)
$ x''(t) = -g$ ($ g$ は既知の定数)
(例3)
$ x'(t) = ax(t)$ ($ a$ は既知の定数)
(例4)
$ x''(t) = -\omega^2x(t)$ ($ \omega$ は既知の定数)
(例5)
$ x''(t) + 2\gamma x(t) +\omega^2x(t)=0$ ( $ \gamma,
\omega$ は既知の定数)

ここに例としてあげた方程式はいずれも割とポピュラーなものなのですが、 見覚えがあるでしょうか?どの場合もこれらの方程式だけでは解が一つに定ま らず、何らかの条件を付け足すことによって初めて解が決定されます。その条 件として、ある特定の $ t$ の値 $ t_0$ に対する $ x$ の値 $ x(t_0)$ や導関 数の値を指定するというタイプのものがよくありますが、そういうものを 初期条件と呼びます(これは $ t$ が時刻を表す変数で、$ t_0$ を現象が 始まる時刻のように解釈するからでしょう)。

例えば、上の例 1, 3 に対して

$\displaystyle x(0)=x_0 \quad \hbox{($x_0$ は既知定数)},
$

例 2, 4, 5 に対して

$\displaystyle x(0)=x_0, \quad x'(0)=v_0 \quad\hbox{($x_0$, $v_0$ は既知定数)}
$

のように与えられた条件が初期条件です。また、初期条件を添えて解が決定さ れるようにした問題を、(常微分方程式の)初期値問題と言います。



桂田 祐史