2.1 この章のねらい

高校で平面や空間のベクトルの内積について学んだ。 例えば、空間のベクトル $ x$ , $ y$ の内積は、成分を用いれば

$\displaystyle (x,y)=x_1 y_1+x_2 y_2+x_3 y_3
$

と表わされ、図形的には

$\displaystyle (x,y)=$$\displaystyle \mbox{($x$ の長さ)}$$\displaystyle \times$$\displaystyle \mbox{($y$ の長さ)}$$\displaystyle \times \cos\theta$   $\displaystyle \mbox{($\theta$ は $x$ と $y$ のなす角)}$

という意味を持つのであった。

この内積を一般の次元の数ベクトル空間に拡張して、 その性質を調べよう。

記号
$ \R$ を実数体とする。

$ \R^n$ を成分が実数である $ n$ 次元のベクトルの全体とする。

$ \R^{n\times n}$ $ n$ 次実正方行列全体とする。

$ x$ をベクトルまたは行列とするとき、 $ x$ の転置を $ x^T$ または $ {}^t x$ と書く2.1

$ v_1$ , $ \cdots$ , $ v_m\in \R^n$ に対して、

$\displaystyle {\rm Span}(v_1,\cdots,v_m):=
\left\{
\sum_{j=1}^m \lambda_j v_j; (\lambda_1,\cdots,\lambda_m)\in\R^m
\right\}
$

桂田 祐史
2017-04-30