を実正則行列とするとき、 実直交行列 と、上三角行列 で
を満たすものが存在する。特に の対角成分は正であるように取ることができ、 そういうものに限ると分解は一意的である。 これを の QR 分解と呼ぶ18。
とするとき、 , , から、 Gram-Schmidt の直交化を行って正規直交基底 , , を作る 計算は、 の QR 分解を求めていることになる。
しかし QR 分解を求める場合、 この素朴な Gram-Schmidt の直交化法を 適用することはない19。
LU 分解と同様に QR 分解があれば連立1次方程式は簡単に解ける。 例えば を解きたいときに、 という QR 分解が得られたとしよ う。
であるから、 の計算は簡単である (つまり、 実直交行列の逆行列はもとの行列の転置行列に他ならないから、 計算するまでもなく分かっているわけ)。