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B..5.4 QR 分解

$ A$ を実正則行列とするとき、 実直交行列 $ Q$ と、上三角行列 $ R$

$\displaystyle A=Q R
$

を満たすものが存在する。特に $ R$ の対角成分は正であるように取ることができ、 そういうものに限ると分解は一意的である。 これを $ A$ QR 分解と呼ぶ18

$ A=(a_1 a_2 \cdots a_n)$ とするとき、$ a_1$ , $ \cdots$ , $ a_n$ から、 Gram-Schmidt の直交化を行って正規直交基底 $ q_1$ , $ \cdots$ , $ q_n$ を作る 計算は、$ A$ の QR 分解を求めていることになる。

しかし QR 分解を求める場合、 この素朴な Gram-Schmidt の直交化法を 適用することはない19

LU 分解と同様に QR 分解があれば連立1次方程式は簡単に解ける。 例えば $ A x=b$ を解きたいときに、$ A=Q R$ という QR 分解が得られたとしよ う。

$\displaystyle x=R^{-1} (Q^{-1} b)=R^{-1}(Q^T b)
$

であるから、$ x$ の計算は簡単である (つまり、 実直交行列の逆行列はもとの行列の転置行列に他ならないから、 計算するまでもなく分かっているわけ)。


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桂田 祐史
2012-07-11