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上限と下限について理解してもらいたいが、
不等号の向きを逆にするだけのことだから、
上限についてだけ説明する。まず基本となる定理を見ることから。
定理 (Weierstrass (ワイエルシュトラス)) |
の部分集合 が空でなく、上に有界ならば、 の上限が存在する。
|
(この定理は、実数体 の連続性というものの一つの表現である。
証明は実数の構成に依存していて難しいので、ここでは述べない。)
が上に有界であるとは、 が少なくとも 1 つ上界を持つこと、
すなわち
が成り立つことをいう ( を の上界という)。
の上限とは、 の上界の最小値のことを指す。すなわち
- (i)
- (
)
- (ii)
- (
) (
) s.t.
|
(i) は が の上界であることを表している。
(ii) は を少しでも小さくすると の上界ではなくなることを示す
(これで最小性を表している)。
上限は最大値を一般化した概念である。実際
- 最大値が存在するとき、それは上限である。
- 最大値も上限もつねに存在するとは限らないが、
最大値が存在しなくても上限が存在することは多い。
特に という記号は、
,
なる に対して、
で定義されるので、いつでも意味を持つことに注意しよう。
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Masashi Katsurada
平成19年10月2日