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問9

$ C^\infty$ 級の2変数関数 $ f(x,y)$ ( $ (x,y)\in\R^2$) と、 $ (a,b)\in\R^2$, $ (h,k)\in\R^2$ があるとき、

$\displaystyle F(t):=f\left(a+th, b+t k\right)$   $\displaystyle \mbox{($t\in\R$)}$

とおくとき、次の (1), (2) に答えよ1。          ----- 合成関数の微分法で、Taylorの定理の準備
(1)
$ F'(t)$, $ F''(t)$, $ \dots$ を (いくつか) 計算せよ。
(2)
$ F^{(m)}(t)$ ($ m\in\N$) の公式を推測し、 数学的帰納法で証明せよ。


前半は計算であるが、要点は次の二つ。

(a)
chain rule
(b)
$ f$$ C^2$ 級ならば $ f_{xy}=f_{yx}$, $ f$$ C^3$ 級ならば

$\displaystyle f_{xxy}=f_{xyx}=f_{yxx}, \quad f_{yyx}=f_{yxy}=f_{xyy}.
$

$ f$$ C^\infty$ 級ならば、$ f$ の偏導関数は、 $ x$ で何回、$ y$ で何回偏微分したかで決まり、 $ \dfrac{\rd^{p+q}f}{\rd x^p\rd y^q}$ だけで表すことが出来る。

多くの人が (1) で $ F'''(t)$ くらいまでを計算できるくらいまで時間を取って、

$\displaystyle F^{(m)}(t)=\sum_{r=0}^m{m\choose r}
\frac{\rd^m f}{\rd x^r\rd y^{n-r}}(a+th,b+tk)h^r k^{m-r}
$

を提示。$ (a+b)^m$ を表す二項定理を思い出してもらう。

これは授業中に書かなかったが

$\displaystyle F^{(m)}(t)=\left(h\frac{\rd}{\rd x}+k\frac{\rd}{\rd y}\right)^m f(a+th,b+tk).
$

これは極座標変換の例の前にやるのが正しいか?考えてみれば、 これも多変数関数の合成関数の高階導関数だなあ。


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Masashi Katsurada
平成23年6月30日