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$ 1$変数ならばベクトル値でも簡単

$ I$$ \R$ の区間、 $ \vec f\colon I\to\R^m$ とする。 各 $ x\in I$ に対して、 $ \vec f(x)\in\R^m$ であるから、

$\displaystyle \begin{pmatrix}
f_1(x) \\ f_2(x) \\ \vdots \\ f_m(x)
\end{pmatrix}:=\vec f(x)
$

とおくと、各 $ i\in\{1,2,\dots,m\}$ に対して、 $ f_i\colon I\to\R$ である。

次のようにまとめておく (納得しやすいであろう)。

$ m$次元ベクトル値関数とは、実数値関数$ m$個の組である。

微積分をするには、極限や連続性が問題となるが、 1変数ベクトル値関数 $ \vec f$ については、 極限や連続性、微分は「成分 $ f_i$ ごと」に考えれば良い。

例えば、極限については、

$\displaystyle \lim_{x\to a}\vec f(x)=\vec A\quad\Iff\quad
\forall i\in\{1,2,\cdots,m\}\quad
\lim_{x\to a}\vec f_i(x)=\vec A_i$   $\displaystyle \mbox{(ただし $\begin{pmatrix}A_1\\  A_2\\  \vdots \\
A_m\end{pmatrix}:=\vec A$)}$$\displaystyle .
$

言い換えると、

$\displaystyle \lim_{x\to a}
\begin{pmatrix}
f_1(x) \\ f_2(x) \\ \vdots \\ f_m(x...
...\\
\dsp\lim_{x\to a}f_2(x) \\ \vdots \\
\dsp\lim_{x\to a}f_m(x)
\end{pmatrix}$

ということであり、「ベクトル値関数の極限は実数値関数の極限に帰着される」。


\begin{jexample}
$\vec f(x)=\begin{pmatrix}\dfrac{\sin x}{x} \\ x^3-3x+2\end{pma...
...pmatrix} =\begin{pmatrix}
1 \\ 2
\end{pmatrix}.
\end{displaymath}\end{jexample}

微分に関しても同様に、

$\displaystyle \vec f'(x)
=\begin{pmatrix}
f_1'(x) \\ f_2'(x)\\ \vdots\\ f_m'(x)
\end{pmatrix}.
$


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Masashi Katsurada
平成23年6月2日