整数1は数値シミュレーションでは データとして使われることは滅多にないが、 簡単に解説しておく。
ビット・マシンでは、 ビットのデータ (ワード) を標準の整数デー タを表現するために使うことが多い。 ビットで 個のデータを表現 することが出来る ( では 個、 では 個)。 正の数だけあれば間に合うならば、ごく自然に の数を対 応させることが出来る (実際 を ビットのデータとして、 を対応させればよい)。C 言語で ``unsigned (符号無)'' を冠したデータ型はまさにこれである。
しかし大抵は負の数をも必要とする。素朴に考えると、1 ビット (例えば ) を符号を表すのに用いて、残りの ビットで絶対値を表すよう にする方法が思い浮かぶ。これは絶対値表示と呼ばれ、ある程度使わ れて来た。しかし現在ポピュラーな方法は補数表示と呼ばれる方法で ある。大抵は2 の補数表示であるが、1 の補数というものもある。
1の補数 |
というビットの列は 1 の補数表示で
は次のように解釈される。
例えば 8 ビットの場合、 を表すには 00000001 の各桁を反転して 11111110 となる。 |
の補数表示では、
ビット列
の表す数は
の補数表示を用いる理由は、符号無しの場合の演算をする場合と回路が 共通化出来ること、複数のワードを用いて広い範囲の数を表現する多倍 長整数の演算の実現が簡単なことである。
演算をすることによって、結果が ビットの範囲に収まらなくなった場
合は、とにかく下位 ビットは残し、溢れ出たものは適当に処理する (こ
とが多い)。加算、減算ならば溢れるのは 1 ビットなので、CPU に備わっ
ているフラグに記憶する。乗算の場合は、溢れたものを捨ててしまうか、別の
レジスターに収めることにする。加減算についてはデータを符号無しと考えて
も、符号有りと考えても、結果の下位 ビットは同じものになることに注意。
10進数で説明すると
これに対して割算については、正数同士の場合はあまり問題がないが、負数 を含む演算の結果についてはあまり合理的な説明は出来ない。割り切れない場 合、剰余の符号をどう取るか、それに関連して商 (整数) をどうするか。 ( ÷ は `` 余り '' なのか、 `` 余り '' なのか。 割る数×商+剰余が割られた数にならない場合もある(ひどい)。)