今回の問題を理解するため、行列の指数関数を の場合に詳しく解析 してみる。 として、 の固有方程式 の根を判別 して場合分けする。
(I) 相異なる 2 実根 , を持つ場合
を に属する の固有ベクトルとする() とす ると、, は線形独立になるので、任意の は
行列の言葉で書くと、 と置くと、
(II) 重根 を持つ場合
この場合は、一次独立な固有ベクトルが 2 つ取れるか、1 つしか取れない かで、二つの場合に別れる。
(II-i) 重根 に属する二つの一次独立な固有ベクトル , が存在する場合
上と同様にして , これは実は ということだから、
(II-ii) 重根 に属する一次独立な固有ベクトルが一つしか取 れない場合
仮定より であり、 が存在する。そこで とお くと .
一方で である(実際 は固有方程式の 重根だから、固有多項式 . ゆえに Hamilton-Cayley の定理から .)。よって すなわち .
これと から とおくと、 . , は一次独立 だから が存在して、 . これから
(III) 相異なる 2 虚根 ( , ) を持つ場合
に属する固有ベクトルの一つを ( ) とする。 の実部、虚部を取ると、 , , それで とおくと、 . これから
桂田 祐史