最初に二つの言葉を定義する。
行列 が下三角行列 (lower triangluar matrix) であるとは、対角線の上にある成分がすべて 0 である、つまり
が成り立つことと定義する。
同様に、 が上三角行列 (upper triangular matrix) であるとは、 対角線の下にある成分がすべて 0 である、つまり
が成り立つことと定義する。
目で見えるように書くと
ということである。
LU 分解
行列
に対して、
Gauss の消去法の前進消去段階では、 係数行列に行に関する基本変形を施して上三角行列 (それを とおく) に 変形したが、 行に関する基本変形は、基本行列を左からかけることで表現できる。 Gauss の消去法では、これら基本行列はすべて正則な下三角行列である。 そこで、この変形は
とかける。これから
となるが、 は実は下三角行列である。 これは次の補題から分かる。
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さて、それでは Gauss の消去法はいつでも出来るかというと、 (掃き出し法との類推ですぐ分かるように) 対角成分に 0 が現われたらダメになるわけである。 この場合は、行を適当に交換することで消去が出来るようになる。
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正則行列 の LU 分解はたとえ存在しても一意ではないが、 を
の形に分解する LDU 分解は一意である。
2017-06-19