1.1 凸性


\begin{jdefinition}[凸関数, 狭義凸関数]
$\R$ の区間 $I$ で定義...
...th}を満たすとき、$f$ は狭義凸であるという。
\end{jdefinition}


\begin{jproposition}[2階導関数の符号と凸性]\upshape
$\R$ の区間...
...。
また $f''>0$ ならば $f$ は狭義凸である。
\end{jproposition}
良く知られているので省略。例えば杉浦 [#!______!#] を見よ。


\begin{jproposition}
$\R$ の区間 $I$ で定義された実数値関数 $f$...
...{displaymath}のとき、そのときに限り成立する。
\end{jproposition}
帰納法による。$n=1$ のときは明らか。$n$ のとき成立すると仮定する。

\begin{displaymath}
\frac{x_1+\cdots+x_n+x_{n+1}}{n+1}
=\frac{n}{n+1} \frac{x_1+\cdots+x_n}{n}+\frac{1}{n+1} x_{n+1}
\end{displaymath}

であり、 $\theta=n/(n+1)$ とおくと $1-\theta=1/(n+1)$ となることに注意すると、 凸性の仮定から、
(1) \begin{displaymath}
f\left(\frac{x_1+\cdots+x_n+x_{n+1}}{n+1}\right)
\le
\fra...
...eft(\frac{x_1+\cdots+x_n}{n}\right)+\frac{1}{n+1}f(x_{n+1}).
\end{displaymath}

帰納法の仮定

\begin{eqnarray*}
f\left(\frac{x_1+\cdots+x_n}{n}\right)
\le \frac{f(x_1)+\cdots+f(x_n)}{n}
\end{eqnarray*}

を使って
(2) $\displaystyle f\left(\frac{x_1+\cdots+x_n+x_{n+1}}{n+1}\right)$ $\textstyle \le$ $\displaystyle \frac{n}{n+1}\frac{f(x_1)+\cdots+f(x_n)}{n}+\frac{1}{n+1}f(x_{n+1})$
    $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{f(x_1)+\cdots +f(x_n)+f(x_{n+1})}{n+1}.$

特に $f$ が狭義凸の場合は、(1) で等号が成り立つ ための必要十分条件として、
(3) \begin{displaymath}
\frac{x_1+\cdots+x_n}{n}=x_{n+1}.
\end{displaymath}

また (2) で等号が成り立つための必要十分条件として、
(4) \begin{displaymath}
x_1=x_2=\cdots=x_n.
\end{displaymath}

結局 (2) で等号が成り立つには (3) と (4) が同時に成り立つこと、すなわち

\begin{displaymath}
x_1=x_2=\cdots=x_{n}=x_{n+1}
\end{displaymath}

であることが必要十分である。

桂田 祐史
2017-04-30