1 はじめに

2025年度は、特別研究という名前の一種のサバティカル休暇をいただくことになった。 周りの人達は忙しいので、休むのはもうしわけない、 と思っているうちに大学での残り時間が少なくなってしまって、 この辺でもらわないとダメだと気づき、思い切った、ということである。

昨年 Covid-19 に罹患して以来、体調が今一つのところがあり (少し根を詰めるとかなり消耗する、単にトシだということかもしれないけれど)、 体調の維持をしながら、 以前から気になっている問題に取り組むこと。 それ以外にも気軽に取り組めることを何かやろうと考えている。

学校数学、 つまり高等学校までの学校で学ぶ数学 (それと算数) のうち 何となく気になっていたことを調べたりするのはどうだろう、 と浮かんだ。 大学の数学教員である私にとって、学校数学との接点というと、 大体以下の通りである。

  1. 基本的な数学の講義をするときに、 学生は高校生のときにどんなふうに学習しているのか気になって、 教科書をパラパラめくって調べる。
  2. 入試の採点をするときに受験生の答案を読む。
  3. (運悪く入試の作題にかかわるときは) 高等学校の教科書をめくり、 学習指導要領をひっくり返し、どう書けば受験生に通じるのかしらん、 と悩む。

実は色々考えることはあって、ときに吐き出したいこともあるのだけれど、 入試にからむことは何となく避けておこう、という気がして、 大ぴらにしたことがない (友人の数学者との雑談では色々言ったりするけれど)。 何か大勢の前で話したり書いたりしたことに近い問題が入試に出たりすると、 それが偶然であっても気持ちが落ち着かない。

特別研究の間は、入試のことには一切タッチしないので、 申開きもしやすい (「私は関係ないです。 書いたことに近いことが出題されたとしても、 私は何も知らなかったことで単なる偶然です。」)。

どんなことを書くのか、どれくらいの頻度で書くかは分からないけれど、 気がむくままにやってみる。



桂田 祐史