数学的解析もしてみよう。 やってみると、Lotka-Volterra 方程式の時と同じようなところも多い。
Lotka-Volterra の方程式の場合と同様に、
局所解の存在、解の一意性はすぐ分かる (簡単なので省略する)。
また解が
全体に延長できることも同様にして証明ができる
(以下で示すように解軌道の方程式が求まるので、
それから解の有界性の議論を経て証明できる)。
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総人口は定数であるから、これを とするとき、
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(6.2) |
SIRモデルの最初の2つの方程式
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(6.4) |
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特に、
ならば、
は
の関数として狭義の増加関数、
時刻
の関数として狭義の減少関数である。
ならば、
が小さい (
が成り立つ) うちは、
は増加関数で、
が大きい (
が成り立つ) ときは、
は減少関数である。
この定理の証明は、 ほどほどの難しさであろう。 ということで、演習課題にしていたのだけれど、 誰も解いてくれないので、以下に証明を示す。
もう少し詳しくいうと、第1象限の点 から出発した解
(初期条件
を満たす微分方程式の解) が、
第1象限の補集合に到達するならば、
中間値の定理によって、
軸上の点
(ここで
) か、
軸上の点
(ここで
) を通る。
すなわち、ある
が存在して
または
.
前者の場合、
軸上の点が平衡点であることから、解の一意性に反する。
また後者については、
が解であることから、
やはり解の一意性に反する。
ゆえに第1象限内の点から出発した解は第1象限内にとどまる。
桂田 祐史