May-Leonard は、[11]
(1975年) の中で3種の生物が競争するモデルを提唱し、
解が興味深い挙動を持つことを示した。
![$\displaystyle \left\{ \begin{array}{ll} \dfrac{\D N_1}{\D t}=N_1(1-N_1-\alpha N...
...[2ex] \dfrac{\D N_3}{\D t}=N_3(1-\alpha N_1-\beta N_2- N_3) \end{array} \right.$](img343.png) |
(5.17) |
,
は正の定数である。
これを
で考察する。
この力学系の平衡点の安定性、
のときの解の漸近挙動について詳しいことが分かっている。
シミュレーションをすると楽しめる。
平衡点は8つあるが、何種が生き残っているかで分類すると次のようになる。
- (a)
- 0種平衡点:
.
Jacobi行列の固有値は
(
重) であり、つねに不安定である。
- (b)
- 1種平衡点:
,
,
Jacobi行列の固有値は
,
,
.
かつ
ならば漸近安定。
と
のどちらか一方が
未満ならば不安定。
- (c)
- 2種平衡点:
,
,
.
これらが
に属するには、
,
が
を満たすことが必要十分である。このとき、これら2種平衡点は不安定である。
- (d)
- 3種平衡点:
.
ならば漸近安定、
ならば不安定である。
の場合は後述する。
まとめ直すと
- (a)
かつ
1種平衡点は不安定, 2種平衡点は
に属するが不安定, 3種平衡点は漸近安定。
- (b)
かつ
1種平衡点は漸近安定, 2種平衡点は存在するが不安定, 3種平衡点は不安定。
- (c)
かつ
かつ
1種平衡点は不安定, 2種平衡点は
に属さない, 3種平衡点は不安定。
安定な平衡点は存在しない。1種平衡点を巡回する解が存在する。
- (d)
かつ
かつ
1種平衡点は不安定, 2種平衡点は
に属さない, 3種平衡点は漸近安定。
- (e)
- ((c) の裏返し)
かつ
かつ
1種平衡点は不安定, 2種平衡点は
に属さない, 3種平衡点は不安定。
安定な平衡点は存在しない。1種平衡点を巡回する解が存在する。
- (f)
- ((d) の裏返し)
かつ
かつ
1種平衡点は不安定, 2種平衡点は
に属さない, 3種平衡点は漸近安定。
(c), (e) の場合に、初期値が平衡点でなければ、
3つの1種平衡点(の近く)を巡回する解が存在する。
一見周期解のようにも見えるが、
だんだん1種平衡点の近くに逗留する時間が長くなる。
上の不等式は等号なしの場合であるが、
等号つきの場合にも重要なものがある。
特に
のとき、
とおくと、
のとき
が証明できる。
と
の共通部分は閉曲線で、
これが limit cycle となる。
May-Leonard のモデルを修正した研究として
Jaramillo-Mrad-Stepien [12]
がある。
桂田 祐史