意外に思う人が多いと思われるが、 日本の数学科ではいわゆる卒論に相当するものを書かせるところは多くない。 実際、私 (桂田) も学部の時は卒論は書かなかった。 卒研に相当する授業はあったが、単に輪講するだけの時間だった。 卒論を書かせない理由は単純で、
しかし、大学院に進学する学生ばかりではない。 学部の 4 年間での勉強を最後に社会に出て行く学生が多いわけである。 そこで私の師匠である藤田先生は、 明治大学数学科で最初の卒業生を出すにあたって、 このままでは学生にほとんど何も残らない、 オリジナルな結果などなくても良いから、 勉強の成果をレポートとしてまとめさせるのが良い、 と主張して、「卒業研究レポート」を書かせることを半ば義務づけた。 正直に白状すると、私は当初は半信半疑だったのだけれど、 今では師匠は正しかったと考えている。
すべてのケースが成功したわけではないが、 卒業研究をきっかけとして勉強にのめりこんで 大きく伸びた学生が相当数いるのは事実である。
何よりも私自身が結構のめり込んでいることが多く、 学生とのキャッチボールで色々と勉強させられ、 卒研はかなり楽しい時間となっている。