47 お休みの日のゼミ -- シミュレーションの細かいノウハウ

今日は文化の日、旗は見ないけれど、 中野セントラルパークが子供づれでいっぱいになって、いかにも休日。 こんな日にゼミをしているのは、うらめしくなりそうだけれど、 他に煩わされることがなくて、色々とノウハウの説明ができたので、割と良い気分。

• 何かを計算するプログラムを作っているとき、 計算した結果を出力するのは当然だけれど、入力データも一緒に出力すること。 どういう入力に対してこの結果となったのか、迷子になることがある。
• 重要なパラメーターはグラフそのものに埋め込むこと。 title() は一つの文字列しか受け付けないので、 １つの文字列にまとめる必要がある。書式指定が不要(あきらめる)ならば、 +str(数値を表す式) で何とかなる。
• Python で常微分方程式の初期値問題を解くには、 scipy.integrate.odeint() と scipy.integrate.solve_ivp() という2つの手段がある。 後者は刻み幅の自動調節 (adaptive stepsize control) ができる。 これは1つの問題を、「次数」の異なる2つの公式を用いて解くことで、 計算精度を推定し、必要ならば細かく刻み幅を取り直すということをやってくれる。 ある種のシミュレーション (学生の持っている知識を想定して、 3種競争系の May-Leonard のモデルを持ち出した -- 3つの平衡点の周りを巡回し、 各平衡点の近くでは非常にゆっくりとしか動かないため、 長大な時間範囲での計算が必要になる。 十分な精度を確保するためにそれなりに小さな刻み幅が必要になるが、 それが必要になるのは速く変化しているところだけで、 平衡点の近傍で小さな刻み幅を用いるのはステップ数の浪費になる。) では有効である。
• odeint() では計算精度を確保するために、 区間の分割を十分細かくする必要がある。 solve_ivp() では区間の両端だけを指定し、 区間を linspace() で分割するにはグラフ描画の都合だけ考えれば良い。 ノートパソコンの画素数は 1440x900 とかで、 グラフを描いているウィンドウは一辺 500 ドット(ピクセル))とかそんなものである。 そういう場合に区間を10万等分もするのは無駄である。
• Pythonのmatplotlib のタイトルで日本語を使うには、 日本語フォントを用意して設定すれば良い。 Google Colab を使っている場合は、 「Google Colab の Python で日本語タイトル」 で説明したようにすること。
• シミュレート用の関数を作るとき、 一般的に使える関数を用意して、 (いくつかのパラメーターの値が等しいとか) 特殊な使い方をする場合は、 一般的な関数を呼び出すように作ること。 (とりあえず a==b, c==d の場合を実験するので、simulate(a,c) という関数を作ろうとしていたので)
  def simulate(a,b,c,d): なんとか

  def simulate2(a,c): simulate(a,a,c,c)

• Jupyter notebook で、 後で使う可能性があるような計算結果にていねいな説明をつけるには、 マークダウン・セルの利用を考えよう。数式も TeX 形式で入力できる。 レポートを TeX で執筆する場合は、 相互にコピペできて便利である。 --- 学生が TeX 使いだから言えることだけど。

何か適当なサンプル・プログラムを作って、 そういうのを叩き台用に与えるべきなのかも。